日本角膜学会理事長拝命の御挨拶
理事長 山上 聡 (日本大学)
日本角膜学会の理事長を令和5年3月から拝命いたしました。日本大学から角膜学会理事長を担当させていただくのは1999年の澤 充日本大学教授(当時)以来であり、大変名誉なことと思っております。
研究・臨床に打ち込んでいる研究者が学会を形成していることは、どこの組織でも共通だと思います。そんななかで日本角膜学会の会員は研究分野としての専門分野も多岐にわたり競合してぶつかることが少なく、それぞれの分野で会員がみな仲がよいことが特徴です。共同研究も活発に行われています。本学会の基盤をなすのが定時総会である角膜カンファランス・角膜移植学会で、この時の会員同士の直接の交流により良い人間関係が構築されていることが全ての背景となっています。今後も学会員の知的好奇心を満たし、かつ協力し合える関係の基礎となる角膜カンファランス・角膜移植学会での直接の議論や触れ合いを大切にしていきたいと思います。
日本角膜学会において今後力を入れていきたいことの一つに若手研究の推進があります。基礎研究が以前ほど活発でないことは、我が国全体の問題であるとともに残念ながら角膜研究の分野でも同じ傾向にあると言わざるを得ません。日本角膜学会では、これまでシニア世代が主導する大学横断的研究を支援してきました。また昨年まで企業の協力で基礎研究の支援を行ってきましたが、今年は基礎研究の支援は打ち切りとなりました。そこで是非若手の基礎研究をサポートするシステムを考えていきたいと思っています。そして支援している研究はホームページ上で他の若手研究者の参考として、また刺激としてできるだけ紹介していきたいと考えています。また角膜の分野は、再生医療等の製品が臨床で導入されている全ての学会のなかでも数少ない分野であります。他分野からも注目されるこの再生医療が適切に施行されているかの評価などにも学会として関与してよいのではないかと考えています。もう一つ進めていきたいこととして学会運営のweb化があります。本学会ではまだ一部に郵便を用いた連絡が行われていますが、入退会はもちろん会員の投票なども可能な限り廃止しweb上での効率的な運営に変えていきたいと考えています。
2年という短い期間でありますが、学会員、評議員、理事の皆様のお力をお借りして少しでも日本角膜学会の存在意義を高めるように努力してまいりたいと考えております。日本角膜学会の発展に、ご指導、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。